滲出性中耳炎ってどんな病気なの?

滲出性中耳炎ってどんな病気なの?耳は大きく分けて外耳・中耳・内耳に分かれます。

外耳は鼓膜よりも外。
中耳は鼓膜と奥の骨で囲まれた部屋(鼓室)の部分。
内耳は蝸牛(かぎゅう)といわれる音の情報を電気信号に変換するところと三半規管などの平衡感覚を司るところが合体してできています。

鼓室と鼻咽腔をつないでいるのが耳管です。耳管は、鼓室を換気する役割を担っています。

もし、この耳管が何らかの理由で機能せず、鼓室への空気の流れが悪くなれば、どうなるでしょう?鼓室内外の空気圧が変わってきます。すると、鼓膜が内側に陥没し、さらに周囲粘膜の水分が鼓室内ににじみでてきます。「にじみでる」を漢字で書くと「滲み出る」と書きます。

すなわち、この状態が滲出性中耳炎なのです。

ミミレンジャーつまり、滲出性中耳炎は、耳管機能の悪化によって鼓室内が陰圧になり、その状態が続くことによって鼓室内に滲出液がたまった状態といえます。

なぜ耳管が機能しなくなるの?

なぜ耳管が機能しなくなるの?耳管が機能しなくなるには次の3つの原因が挙げられます。

1)急性中耳炎
急性中耳炎になると、鼓室粘膜の腫れによって耳管の開口部が狭くなり、耳管の通気性が低下します(右図)
 
2)いろいろな鼻の病気、鼻咽腔そのものの病気
アデノイドやアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎がその代表的なものです。どちらも鼻粘膜の腫脹をおこし、そのために耳管の開口部を通りにくくします。
 
3)年齢
耳管の働きは年齢と共に変化しますので、幼児期と老年期にはその働きが十分ではないのです。滲出性中耳炎は、幼児期から小学校の低学年にかけてと、60歳以降に多く見られます。 

これからの治療は?

3ヶ月間は経過観察だけを行い、通気は一切しない当初は、自然治癒を期待して、"watch and wait"「見て、待つ」という、経過観察だけを行います。通院は2~4週間に1度となり、耳管通気(ガッコウ通気)は全期間を通じて一切行いません。

鼓膜切開は極力避ける鼓膜切開は、経過観察中、難聴がきつくなったり、症状による不快感が強い場合に行うことがあります。鼓膜切開は行う場合でも1・2回にとどめ、何度も繰り返すことはありません。

3ヶ月以上経って改善傾向がなく、聴力が悪いままの場合には鼓膜換気チューブ留置術を勧める(ときにアデノイド切除術を追加)3ヶ月を経過して、鼓膜の状態が悪いままで、はっきりとわかるほどの難聴がある場合には、鼓膜換気チューブ留置術をお薦めします。
3ヶ月の時点であまり難聴もないようなら、さらに経過観察を続けます。アデノイド切除術はチューブ留置術を受ける4~6才の小児で手術中にアデノイドの大きいことが確認できた場合に行っています。

治療するにあたっての方針は?

当院では鼓膜切開はしません滲出液が見られた場合、直ちに鼓膜切開を行なう医師もいます。当院では、成人の滲出性中耳炎では鼓膜切開を何度か行って治療することはありますが、小児の場合には効果が薄いと考えており、ほとんど行いません。

当院では抗生物質の長期投与はしません薬を飲み始めて1か月後を比較すると、薬を飲んでいない人よりはやや改善率がよいという程度の効果しかありません。我が国では2ヶ月程度、抗生物質の内服を続けるという治療を推奨する医師もいますが、欧米でそのような治療は行われていないようです。当院でも滲出性中耳炎に抗生物質を処方することはありません。

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